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第45回全国消防職員意見発表会 優秀賞 受賞

令和4年6月8日に神奈川県横浜市にあるパシフィコ横浜会議センターにて「第45回全国消防職員意見発表会」が開催され、上北消防署に勤務する駒井大輝消防副士長が出場し、見事に優秀賞を受賞しました。

本発表会は、全国の各支部(北海道支部、東北支部、関東支部(2名)、東海支部、東近畿支部、近畿支部、中国支部、四国支部、九州支部)から選び抜かれた代表者10名によって行われました。

発表テーマは「言葉の力」と題し、祖父が死の間際に発した言葉から言葉の持つ力を体感。「言葉のポジティブ化」で好転した職場での事例から可能性を追求するというものでした。

発表内容

「言葉の力」 駒井大輝

皆さんは自分の発する「言葉」を意識していますか?もちろんですが言葉は無尽蔵に生産されます。あなたの発した一言で誰かを傷つける事もあれば、誰かに勇気を与える事もあります。
私の祖父は2年前、病気で他界しました。おじいちゃん子だった私は祖父がもう長くないと知った時からできる限りの時間を祖父のそばにいようと決め色々な話をしました。その時の祖父の口から出る言葉は「感謝」や「称賛」と言ったとてもキレイな言葉ばかりでした。その時に私は感じました。人は発する言葉に制限があれば相手を思いやる言葉が増えるのではないか?この経験を何かに生かせないか?そんな事を考えながら職場でみんなの会話の内容を聞いていました。意識して聞いていると人を馬鹿にするのは当たり前、指導する際も相手の心に土足で入るような雑な言葉を使用するなど、職員間にコミュニケーションの溝があると感じました。
私達の仕事は、住民の財産、命を守る仕事で現場は混沌としています。そこではその場凌ぎは通用しません。普段の言葉使いも反映されます。私達のかける言葉一つで住民を安心させることもあれば、言葉一つでトラブルへと発展することもあります。私は日常の言葉が変われば、現場で使う言葉にも深みや優しさ説得感がでるのではないかと仮説を立て、「言葉のポジティブ化」をみんなの協力を得てトライしました。ルールは簡単です。勤務中はポジティブな言葉を選んで使うこと。それだけです。初めのうちは面白いように会話が減ります。そこから意識した言葉を使い始め会話がポジティブになっていきます。夕方になるとうっかりネガティブな言葉を発する職員もいましたが、すぐに気づき、訂正します。
約一ヶ月近く取り組んだ結果、以前はネガティブな言葉で埋め尽くされていた職場の会話がなんと8割がポジティブな言葉に変わったのです。
日本心理学会の論文によるとネガティブな言葉とポジティブな言葉の割合は7対3。つまりなにも意識しないで言葉を使っているとネガティブな言葉が多くなることが分かっています。しかし意識するだけでこの割合は逆転します。私達がそうなったように。
災害時にも変化が見られました。ある救急事案でのことです。以前はテンプレート的な対応しかしなかった隊員が、マスク越しでもわかるくらい口角が上った安心感のある表情で患者さんにこう言ったのです。「安心してください、僕たちがついていますよ。」誰でも使うような内容ですが、言葉の重みが今までとは全く違ったのです。その隊員は心の底からそう思っているのです。だから言葉に深みが出るのです。患者さんは「ありがとう」と苦しい中、笑顔で頷いてくれました。
「言葉のポジティブ化」は現在も半年間継続していて、習慣から文化へとなりつつあります。私達は優しく、聞き心地のいい言葉を意識しなくても使いこなす日本一の「言葉の力」を装備したチームです。
災害現場で混乱している住民に対して、より混乱状態に陥らせるのもあなたの言葉一つ、安心させてあげるのもあなたの言葉一つです。そしてこの言葉の力を磨くのは日常です。現在、みなさんの職場の会話はネガティブな内容が多くないですか?もし心辺りがあるならば、今から「言葉のポジティブ化」を始めて下さい。意識を変えるだけです。なにも難しいことはないですよね?あなたも変わります。職場の雰囲気も変わります。そしてそれが住民に安心をもたらす価値のある「言葉の力」になるのです。

本発表会は、青森県内にて最優秀賞の受賞から東北支部での最優秀賞の受賞により全国出場という勝ち進んだ最後の発表会となりました。本発表会に際し、応援してくださった皆様には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。